SOWL VILLAGE 2020 特別企画 東西アーティスト対談インタビュー 【EAST SIDE : TAKESABURO×ILL-SUGI】

3月27日開催の「SOWL VILLAGE2020」今年も全国から名だたるアーティストが集結する。前身イベント”STRAD”から数えて10年の節目を迎える今年。出演アーティストをより詳しく知るための対談インタビューをお届け!

 

第一弾は”EAST SIDE”ということでダンサーTAKESABUROとビートメイカーILL-SUGIによる対談が実現!地元である相模原〜町田についての話をはじめ貴重なトークがたっぷり。

 


―異国情緒な”相模原〜町田ライン”が熱い―

 

―今年のSOWL VILLAGEでは、ILL-SUGIさんもLiveShowCaseに参戦されるということで、新たなセッションの勃発が予想されるわけですが。まずはTAKESABUROさんがILL-SUGIさんをブッキングしたきっかけから聞かせていただければと思います。

 

TAKESABURO
最初にILL-SUGIのことを知ったのは仙人掌とのMVがきっかけだね。地元が相模原というのも知ってから親近感湧きまくりで、一方的にチェックしてた。Milesとも話してたら「学年はかぶってないけど高校も一緒なんすよね」って言ってたり、タイミングあればオファーしたいとずっと思ってた。

 

仙人掌 / BirdEyesView feat. NASTY ILL BROTHER S.U.G.I

 

―ILL-SUGIさんのビートの印象を教えてもらえますか?

 

TAKESABURO
とにかく深い。表というか上には行きすぎずに深い。良い深さにずっと潜り込んでる感じ。空間というか、その音がつくる空気感の深さだね、1番くらったのは。

 

 

ILL-SUGI
ありがとうございます。

 

TAKESABURO
あとは数年前に東北でGreen Assasin Dollerとたまたまリンクするタイミングがあって、色々話してたら彼も地元が相模原らしく、またそれもテンション上がったな。やっぱり地元一緒は無条件で嬉しいよね。改めて『相模原〜町田ライン』は熱い街なんだなと再確認。

 

例えばキー君(NORIKIYO)が今でもずっとキープして動いてたり、上の世代のYAMAZIN君がいて、LOOPJUNCTIONがいて、Q-ILL君がいたり。で、俺ら世代がいて。SOWL VILLAGEの前身のSTRADにも呼んだOMSBはじめSIMI LABがいたり。色んな音の質があるにせよ、みんな動いてるなって感じ。「相模原〜町田ライン」熱いですよ。

 

owls – blkzmbeee’z feat. OMSB

 

NORIKIYO  It ain’t nothing like Hip Hop

 

Loop Junktion / sink or swim / 山仁

 

SIMI LAB – Avengers

 

Q-ILL / Smoking Gun 

 

ILL-SUGI
あとTajima Halも相模原ですね。

 

Tajima Hal
https://soundcloud.com/tajima-hal

 

TAKESABURO
そうなんだ!

 

ILL-SUGI
不思議な町ですよね。大きい米軍基地があったりして、予期せぬ形で異国情緒を感じます。

 

TAKESABURO
一年に何回か米軍基地が解放されるパーティーがあって、タイミング合えば遊びに行くんだけど、K-Ci&JoJoのLiveとかも生で見れたし、他になんだっけ「なんとかルー、ララリルー」ってやつ(笑)

 

 

ILL-SUGI
Soulja Boyですかね(笑)

 

Soulja Boy Tell’em – Crank That (Soulja Boy) [Official Video]

 

ーHIPHOPとの出会い。街から街ー

 

―そんな相模原でILL-SUGIさんがHIPHOPを始めたきっかけを教えてもらえますか?

 

ILL-SUGI
父親の影響が大きいですね。父親のCDラックにパブリックエネミーとかBDPとかがあって小さい頃からなんとなく聞いていました。でも「HIPHOPって良いな」って初めて思ったのは、MTVで見たTwistaのSlow Jamsですね。中1くらいかな。

 

Twista – Slow Jamz (Feat. Kanye West & Jamie Foxx)

 

TAKESABURO
早口ラップが出たときだ!

 

ILL-SUGI
そうですそうです。そこから聞いてたのは当時のメインストリームですね。
中3の時、今度はMTVでWU-TANG CLANが流れてて。それにマジで食らいました。
「うわー、今まで見てたやつと全く違う!」って思って(笑) 「俺もやってみよう」ってなりました。

 

TAKESABURO
こないだ話しててわかったんだけど、俺とILL-SUGIは、年が10近く離れてるんだよね。
だけど俺ら世代もWU-TANGとかGangStarr、Mobb Deep、NAS、BootCampは絶対外せないよね、っていうのがあって。俺らも初めて聞いてやられたのが中3くらいなんだけど、10年後にもまたそうやってHIPHOPを聴いてやられてる人がいるっていうのはやっぱり改めてHIPHOPすげえなって思う。一曲で人生変える力ある。

 

―ビート作りはいつ頃から?

 

ILL-SUGI
17くらいからです。自分が始めた頃ってサンプラーよりも、もうみんなPCを持ってたんですよね。そこでACIDっていう作曲ソフトを使っていました。

 

TAKESABURO
ACID。ダンサーにとっては編集用としてお馴染みだね。

 

―そこからサンプラーを使った現在のスタイルに移行していくわけですね。

 

 

―昨今、ビートライブのイベントが増えたりして、ビートメイカーの人口も増えている印象があるのですが、ILL-SUGIさんが個人的に気になっているビートメーカーはいますか?

 

ILL-SUGI
インストのビートで言えば、今1番推してるのは京都に住んでるYUGO(Yugo-Ease)ですね。1枚だけ一緒にアルバムを作らせてもらったりもして。そいつのビートは好きですね。普通に超良い友達ですし。

 

ILL-SUGI x YUGO EASE – Diamond (from “Purple Planet”)

 

TAKESABURO
ILL-SUGIが中野HEAVY SICKで主催してるパーティーにも出てたよね?

 

ILL-SUGI
そうですね。自分は隔月でSLOW LIGHTSというイベントを開催しています。そこでは、ビートのBack to Backを4人でやるんですよ。4,50分くらいって時間を決めて、順番にビートを流していくんですよね。目で合図しながらパスしたり、楽しいです。

 

―では、お二人がライブやショータイムのときに心がけていることや習慣などありますか?

 

ILL-SUGI
心がけてることは「常にいつも通り」ですね。上がったりも下がったりもせず「思ったようにやろう」っていう。それしかないっす。

 

TAKESABURO
いつも通りやるのが結局1番難しいからね。いつも通りやるためにみんな何かしら準備してるというか。

 

―なるほど。そのためにはやっぱり日々の練習は必要ですか?

 

ILL-SUGI
練習というか、何かしらいじってますし、なんだかんだ毎日作ってますね。多分ダンスと同じだと思いますよ。なんか音楽かかってると、着替えながらちょっと踊っちゃうみたいな。

 

―では、少し趣向を変えて、今までに行った街や国で、印象的なエピソードなどあれば聞かせてください。

 

ILL-SUGI
ライブで呼ばれて行って1番色々あったというか面食らったのはスイスですかね。

 

TAKESABURO
スイス!?想像つかないな。どのあたりがやばかった?

 

ILL-SUGI
まずパーティの空間がやばかったですね。フロアにカウチソファとかが置いてあって。みんなもう靴も抜いでゴロ寝してたり。

 

TAKESABURO
Chillのレベルが違うんだ(笑)

 

ILL-SUGI
違いましたね。その日はライブも上手くいってホクホクしてたんですよ。そういう時って気分も良いし外を散歩したくなるじゃないですか?で、外でステッカー貼ったりしてたんですよ。そしたら後ろからサイレン聞こえてきて、地元の警察が来ちゃって。

 

「お前、今落書きしてただろ」
「いやいや!してないしてない。日本から来たんですよ」
「じゃあパスポート見せろよ」
「パスポートとか全部ホテルに置いてある!ホテルまでパトカー乗っけてくれよ」

 

っていう問答があって。
でもホテルの部屋には絶対入られたくなかったから、部屋のドアの外で警官に
「一緒に来てる奴が寝てるから静かにしてくれよ!」って言いながらパスポート見せました(笑)
「わかったわかった。旅行者なんだから気をつけろよ。馬鹿なことしてんじゃねえぞ」って普通に説教されて、その場はなんとか耐えました(笑)

 

TAKESABURO
日本のパスポートは世界の信用第一位だ(笑)

 

ILL-SUGI
そんなこんなで、色々ひと段落したのが夜中の3時頃だったんですけど、1回外にタバコ吸いに出て。で、戻ったら今度はオートロックで部屋のドアが開かないっていう(笑) 1月真冬のスイスでパーカー1枚で外に放り出されちゃって。

 

 

TAKESABURO
クソ寒いじゃん(笑)

 

ILL-SUGI
めちゃめちゃ寒かったっす。で、宿直室みたいなところピンポンって押したらあっちの言葉で言ってるからわかんないんすけど、すげえ剣幕で怒られました。

 

多分その前の警官との一悶着も防犯カメラで全部見てたんでしょうね。
「お前、おまわりまで連れ込んでクソガキが!早く入れよ!」的なことを言われて(笑)

 

そういうハプニングもあったりしましたけど、ヨーロッパもなんとか回れましたね。

 

―大波乱でしたね(笑) ちなみに、ヨーロッパのヘッズからの反応はいかがでしたか?

 

ILL-SUGI
んー俺次第というか、やっぱヨレてる日はダメでしたね(笑)

 

―向こうのビートメイカーとの交流はあったりしましたか?

 

ILL-SUGI
ヨーロッパのMENACE(メナス)っていうレーベルが自分のビートをリリースしてくれたことがあって。あと別のCascade Recordってところがリリースさせてくれてたりとか。案外繋がってるとこはありますね。向こうの人たちも日本が好きでちょくちょく旅行で来るんすけど、そのタイミングでSound Cloud経由で連絡きて会ったりしてましたね。

 

MENACE
https://soundcloud.com/menaceparis

 

Cascade Recards
https://soundcloud.com/cascaderecords

 

TAKESABURO
ビートメイカーも音一個で世界と繋がれる時代だよね。音がやばいっていうところで。

 

―違う街のプレイヤーと繋がるという経験で言えば、TAKESABUROさんも関西サイドとの繋がりが濃いわけですが。今回SOWL VILLAGEに出演するHEX BEXとの出会いについても教えていただけますか?

 

 

TAKESABURO
最初の出会いはDANCE DELIGHTのファイナル。XXX-LARGEで参戦した時。

 

そのちょっと前からアドヒップの人に「お前らと気が合うというかライバルというか、似たようなニオイするやつらおるで」みたいな話をされてて。それまでは大阪のイメージとしては、ガチでルーティン合わせるスタイルっていうイメージを持ってた。

 

その前置きもありつつ、初めてHEXのショー見て一発でくらっちゃって、俺からHONGOU君に話しかけに行ったのが最初のコンタクトだと思う。

 

次の年にはStyleJunctionでショーやらせてもらって、その勢いでYELLOW BLACK VIDEOを撮影しにNYに行ってるから、1年間でかなりの急接近ですね。濃いお付き合いの始まりです。

 

 

XXX-LARGE&HEX BEX yellow black video trailer

 

で、DJ O-NOさんがちょうどそのときJeru The Damajaと曲作るからNYに行くって流れがあって。それに同行しつつYELLOW BLACKの撮影も敢行して。そのNYの旅の中でもうHEXとも完全にファミリー化してた。そこからもう何年経ったんだろう。出会って15年くらいかな。

 

―ではここで、今回のLiveShowCaseの見所というか、ビートライブ/ダンス/ラップ/スクラッチ/ビートボックス…と、とにかく様々なエレメンツがミックスされたセッションを楽しめるということなのですが、いったいどんな景色が見られるのかが気になるところです。

 

TAKESABURO
そこはもう「乞うご期待」にしておこうかな。完全にこの日しかやらないショーだし。やっぱり生ものなので、会場で目の当たりにしてほしいですね。

 

―当日のお楽しみということですね(笑) では最後に、このインタビューを読んでいる方に向けて一言お願いします。

 

ILL-SUGI
是非会場に来てほしいですね。遊びましょう。

 

TAKESABURO
『HIPHOP村おこし』必ずオモロイ夜になるんで、是非来てください!!前身イベントのSTRADから数えて今年でクラブチッタ開催も10年目なんで、節目の2020ミッドナイト、遊びましょう!!

 

 

世代やフィールドは違えど、異国情緒な“相模原・町田ライン”を拠点に独自のスタイルを作り上げてきたTAKESABUROとILL-SUGI。彼らの「深さ」はいかにしてCLUB CITTA’のステージで混ざり合うのか。ダンスショー、ビートライブといったエレメンツの垣根を超えたLiveShowCase。是非とも生で体感したいところだ。

 

ロケーション : OPPA-LA(オッパーラ)

湘南江ノ島にあるビュータワー4階、江ノ島はもちろん海岸線から富士山まで望める贅沢な景観の中で料理やお酒を堪能できる人気店。ロック・ヒップホップ・レゲエ・ハウス etc…あらゆるジャンルの音楽人が集うことでも有名なスポットである。

https://oppala.exblog.jp/


 

インタビュー/写真 : KENTA SUGISAWA
企画/構成 : Seiji Horiguchi


Seiji Horiguchi

フリーライター。新聞記者を夢見る学生時代を経て、気づけばアメ村に。関西を中心としたアーティストのプロフィール作成やインタビュー記事、イベントレポを作成。大阪アンダーグラウンドにアンテナを張りつつ、ストリートカルチャーの「かっこいい」を広めるべく執筆中。

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